▼追加ソース
タバコの煙の中にある成分が新薬開発につながるかもしれないというニュースのようです。朗報ですね。
喫煙にはデメリットを伝えるニュースもあるので、喫煙を推奨するものではなさそうですが…。
ざっくりまとめると
・ACE2の発現が新型コロナ感染での曲者
・タバコ煙成分がACE2発現量を抑制!
・トリプトファン代謝物などでも抑制!
論文を発表した「広島大学」のプレスリリースページです。
タバコ煙成分は芳香族炭化水素受容体の活性化を通じてACE2発現を抑制している可能性が示唆されました。芳香族炭化水素受容体を様々な方法で活性化させたり抑制したりする実験により、芳香族炭化水素受容体の活性化を通じてACE2発現量が抑制されることを確かめました。さらに、芳香族炭化水素受容体を活性化する化合物の中で、食物などに含まれるトリプトファンの代謝物や既に薬として使用されている胃潰瘍治療薬であるプロトンポンプ阻害薬により、ACE2発現量が一過性に抑制されることを明らかにしました。そして、これらの化合物を用いて、新型コロナウイルスが細胞に感染する(細胞に侵入する)量が抑制できることをVERO細胞(※7)を用いた細胞感染モデルで証明しました。
ACE2について
↑より引用
抗体は新型コロナウイルスの表面にあるスパイク蛋白とヒト細胞の表面にあるACE2受容体の結合を阻害することでウイルスの増殖を防ぎます。
トリプトファンについて
↑より引用
トリプトファンは、ヒトの体内に置いて、概日リズムと関連するセロトニンやメラトニンに代謝される。
ヒトの健康維持にとって欠かせない物質であり、かつ、ヒトの体内では十分量が合成出来ない「必須アミノ酸」の1つであって、適量の摂取は精神・神経を落ち着かせるなど、ヒトの健康増進に役立つとされている。
<略>
基本的には食品中のタンパク質が多いほど多く含まれる。したがって、肉、魚、豆、種子、ナッツ、豆乳や乳製品などに豊富に含まれる。またチョコレート、燕麦、バナナ、ドリアン、マンゴー、ナツメヤシ、牛乳、ヨーグルト、カッテージチーズ、鶏卵、家禽類の肉(ニワトリ、アヒルなど)、ゴマ、ヒヨコマメ、ヒマワリの種、スピルリナ、ラッカセイなどに含まれる、という報告がある[6]。
食品100gあたりリストには「すじこ」「ひまわりの種」「プロセスチーズ」「たらこ」「糸引納豆」の順ですが、そんなに多く食べれるものではないですね。
もうすこし深堀すると論文より
↑より引用
Because RNA-seq analysis suggested that suppressive effects on ACE2 might be inversely correlated with induction of the genes regulated by aryl hydrocarbon receptor (AHR), the AHR agonists 6-formylindolo(3,2-b)carbazole (FICZ) and omeprazole (OMP) were tested to assess whether those treatments affected ACE2 expression.
Both FICZ and OMP clearly suppressed ACE2 expression in a dose-dependent manner along with inducing CYP1A1.
RNA-seq解析の結果、ACE2の発現抑制効果はアリル炭化水素受容体(AHR)が制御する遺伝子の誘導と逆相関している可能性が示唆されたため、AHRアゴニストである6-formylindolo(3,2-b)carbazole(FICZ)とomeprazole(OMP)を用いて、これらの処理がACE2の発現に影響を与えるかどうかを評価した。
FICZとOMPは、CYP1A1を誘導するとともに、用量依存的にACE2の発現を明らかに抑制した。
タバコの煙の成分を追っかけたところ、FICZこと「6-formylindolo(3,2-b)carbazole」と、OMPこと「omeprazole」が有効と分かり「トリプトファン」や「オメプラゾール系の消化器系用薬」が有効とたどり着いたという認識でよいのでしょうか?
タバコ自体にはネガティブなニュースも多くありますので注意が必要ですが、ちょっと許された気もしますね( ´ー`)y-~~
ちなみに論文ページのタイトルは「Inhibiting SARS-CoV-2 infection in vitro by suppressing its receptor, angiotensin-converting enzyme 2, via aryl-hydrocarbon receptor signal」となっており、「in vitro」は「試験管内」の事なのでさらに動物実験などのを進めないといけません。
しかし新たな治療薬や既存薬で、新型コロナ治療薬の可能性が出たことは嬉しい事です。
↑より引用
紙巻きタバコ1本につき10~30mgのニコチンを含有しており、消化管を介して吸収されたニコチンが交感神経系、副交感神経系に作用し中毒症が発現する。乳幼児では、タバコ1本が中毒量となる。経口摂取による嘔吐発現量は2~5mg、致死量は乳幼児10~20mg、成人40~60mgである。
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