11/18(土) 10:59
デイリー新潮 プロサッカー界を目指す生徒が集まる私立高校で、肝心要のサッカー部員たちが「大量転校」してニュースになっている。新聞やスポーツ紙は異例の事態と報じるが、その裏には、かつて問題を起こして警告を受けた監督の存在があった。
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秋に行われる全国高校サッカー選手権大会の予選。夢の晴れ舞台である来年1月の決勝戦に向けた戦いが各地で始まろうとする矢先、ある出場校で大量の転校劇が起きた。舞台は兵庫県相生市に本校を構える広域通信制の相生学院高校。
同校サッカー部は「プロサッカー選手の養成」を活動方針に掲げ、淡路島を拠点に全寮制で活動する。スポーツ紙デスクによれば、
「現在J1リーグ首位のヴィッセル神戸に所属する日高光揮選手(20)を育てた新進の注目校で、今年夏のインターハイでは県予選で準優勝。10月に始まった全国高校サッカーの兵庫県予選でも、優勝候補の一角に挙げられていた。しかし、11月3日の準々決勝で敗退。予想外の結果でした」
「大量転校」の引き金となった張本人
敗退から1週間、毎日新聞(11月10日付)に目を引く記事が。それによると、同校サッカー部員104人のうち66人が転校したか、あるいは転校手続き中で、サッカー部の上船(うえふね)利徳前監督(31)の「今後もう少し増えると思う」という談話を載せている。
だが、この妙に客観的な見解を口にする上船前監督こそが「大量転校」の引き金となった張本人に他ならない。部員らの転校先は淡路島にある通信制のAIE国際高校とされるが、当の上船氏が3年来務めた相生学院からそこへすでに移っているのだ。
栄養不足で10キロ近く痩せた生徒も
実は、上船氏を巡る騒動は今回が初めてではない。
鹿児島県の神村学園が淡路島でプロサッカー選手の育成を行っていた際、総監督を務めていた上船氏は、生徒と保護者から損害賠償を求める訴訟を起こされているのである。
20年1月、この件を報じた本誌(「週刊新潮」)記事で、保護者らは口々に語った。上船総監督は、学校環境は良好で、充実した食事を提供し、勉強もマンツーマンで教えると請け合った。ところが実際は、生徒に“勉強はしなくていい”と言い放ち、満足な食事を与えず、みな栄養不足で体重が減り、最大10キロ近く痩せた子もいた。あれこれ改善を求めたが、スタッフは取り合わず、神村学園と上船氏を提訴するに至ったのだと。
生焼けのグリルチキン、週4回のカレー
裁判まで起こされるとは指導者としてレッドカードをもらったに等しいが、
「こちらに入学する前に、もちろんその記事は読んでいたのですけれど……」
と苦渋の表情で語るのは、相生学院高校サッカー部員の保護者だ。
「上船氏は“週刊誌の記事なんて全部ウソだから。本田圭佑と今でもLINEしてる仲なんだから、本当なわけないでしょ”と言い、何日か前にやり取りしたという本田さんとのLINEを見せてくる。それで、つい信じてしまいました」
けれど、相生学院に移っても、実態は神村学園時代と同じ。勉強のサポートはほとんどなく、食事もずさん。生焼けのグリルチキンが供されたことも一再ならず。昼食は週4回カレーという時期が1カ月続いたことも。
「はなから食事には期待できなかったので、子どもにはカップラーメンなど簡単に作れるものを食べるように言っていました。ただ、コロナ禍の最中に熱を出しても病院に連れて行ってくれなかった時は、あまりにどうかと思いましたね」(保護者)
部員の飲酒を報告したキャプテンを叱責
それでもチームの大会成績は良好で、親も生徒も我慢していた。それが限界に達したのは今年9月だ。
「サッカー部員4名が飲酒し、そのことをインスタグラムに投稿したのです。見つけたキャプテンがさすがにまずいと思い、保護者と学校、上船氏に報告をしたのですが……」(同)
あろうことか上船氏はこの生徒をキャプテンから外し、残暑厳しい炎天下の路上に1時間も立たせ、脇に止めた車の中から「親に言うとか意味わからん」「親に頼らず自分たちで解決できないのか」などと叱責した。
「正義感で動いたキャプテンを密告者のように扱い、パワハラまで加えたことは、さすがに私たち保護者も看過できませんでした」
と保護者は振り返る。
“裏切り者を試合に出させるな”
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